DISPOSAL残置物処分
住宅の解体を依頼する必要が出た時に疑問に思うのは「家の中の家具や細々したもの、残しておいていいの?」ということ。
建物本体の解体は自分ではできそうもないので業者に依頼するとして、家具や生活用品は自分でも処理できそうです。
しかし内心は解体業者が建物を解体する際、一緒に処分してくれることを望んでいませんか?
実は意外とお金と時間が掛かる残置物の撤去処分について、解体工事をご依頼される前に内容を理解しておきましょう。
※ページ内の表は、一部横にスクロールしてご確認いただけます。
解体工事の残置物、残していいものは?
そもそも残置物って何?
まず、残置物とは何なのか、定義を確認しましょう。残置物とは「建物の解体に際して、前の居住者や所有者が残しているもの」を指します。
たとえば、タンスやベッドといった家具類、布団や食器などの日用品が室内に残っている場合です。
住宅であれば、引き渡し入居時の状態が残置物無しである状態です。
残置物は全て撤去する
「残置物は全て撤去する」というのが基本的な考え方です。
建物は解体されると解体された廃材は産業廃棄物として処理されますが、家の中の残置物は一般廃棄物に該当し、混合処理することは法律で認められていないからです。
建物を解体する業者に、一般廃棄物の分別を依頼することも可能な場合はありますが、本来の業務とは異なり、さらに多大な手間を要するので費用は高額になりがちです。
法律の面でも、費用の面でも、自分で処理をする方がメリットが大きいといえるでしょう。
なお、内装解体やスケルトン工事などで店舗や事務所で使用していた厨房機器や事務机など事業活動の為に必要であった残置物は、産業廃棄物として処理しなければなりません。
解体工事の残置物「費用はどれくらい?」
では、残置物を全て残してしまった場合、どの程度の金額を請求されるのでしょうか。
業者に依頼する場合の費用
残置物撤去の料金相場を以下の表でまとめています。
部屋数 | 目安の広さ(㎥) | 料金相場 |
---|---|---|
1部屋 | 4㎥ | 30,000円~60,000円 |
2部屋 | 8㎥ | 60,000円~120,000円 |
3部屋 | 12㎥ | 90,000円~180,000円 |
4部屋 | 16㎥ | 120,000円~240,000円 |
5部屋 | 20㎥ | 150,000円~300,000円 |
※上記内容は平均相場です。荷物量や業者により異なりますので目安としてお考え下さい。
1部屋あたりの残置物撤去の料金相場は、30,000円から60,000円です。
一般的に残置物撤去の費用は、立法メートル(㎥)単位で積算される場合が多いです。
これは、廃棄物量に応じた処理費用と作業量を計算しているからです。
業者は、回収した残置物を処分場に運搬処分するために処分費用が発生します。
この費用は残置物の量や内容によって変わるため、利用者に請求する金額も部屋の広さあたりで費用を算出されます。
また、残置物撤去の場合、この処分費用に加えて作業時間を踏まえた人件費が計算されてます。
残置物撤去は、不用品処分とは異なり、不用品が整理されずにそのまま放置されているものを片付けることが多くあります。
そのため、単純に不用品の搬出をするだけでなく、片付けをしなければならないため、その作業も考慮した料金体系になっています。
また、同じ部屋のサイズでも業者によって料金の内訳が異なります。
例えば、荷物の内容によって追加料金が発生する場合や、エレベータの有無などで追加料金が発生するケースがあります。
そのため、正確な料金を知るためには現地調査にて見積りを依頼する必要があります。
自分で処理する場合の費用
一方「自分で処理する場合」はどの程度の費用が掛かるのでしょうか?
愛知県名古屋市のごみ処理を例にしてみましょう。
愛知県名古屋市では、搬入するごみを車両に積んだ状態で、ごみの発生する区の環境事業所で、受付をする必要があります。
職員が車に積まれたごみを確認するなどの手続きを行います。(工場及び処分場では受付できません。)
搬入先は、搬入するものの種類や大きさ、数量に応じて環境事業所で案内されます。
受付当日の午前8時45分から午後3時40分までに(愛岐処分場は午前9時15分から午後4時10分までに)、処理施設へご自分で運びます。
正午から午後0時45分まで(鳴海工場は正午から午後1時まで)の時間は搬入ができません。
また、処理施設ではご自身でごみを下ろす必要があります。
破砕困難なもの等とは、不燃ごみ・粗大ごみのうち、コンクリートブロック、レンガなどの破砕困難なものや、長大なもの(概ね180センチメートルを超えるもの)、燃えがらなどです。数量等に応じて判断します。
処理施設で計量を行い、10キログラムまでごとに200円の処理手数料を現金にて支払をします。
大まかに上記が一連の流れですが、前処理が必要なもの、持ち込みできないものがありますので各自治体へお問合せください。
手間は掛かりますが、それでも数百円から数千円程度の費用で残置物を処理できることになるので、やはり自分でできる分は自分で廃棄処理を行う方が経済的と言えるでしょう。
残置物処理の節約方法
残置物は可能な限り自分で処理した方が安価であることがわかりましたが、他にもっと費用を節約する方法はないのでしょうか?
それは、「中古買取り業者への依頼」です。
解体予定の家の中には、まだまだ使えそうな品が多いもの。
使えそうな物をまとめて中古買取り業者に引き取りを依頼をすると処理費用が浮くことに加えて買取り費用を受け取れるかもしれません。
また、特に高額に取引できそうなものがあれば、メルカリなどのフリーマーケットアプリを利用することも有効です。
解体工事の残置物処理で気をつけたい点
解体工事で問題になりやすい残置物の処理について解説してきましたが、最後に全般的に気をつけておきたい点を解説します。
一般廃棄物と産業廃棄物の違いを把握
私たちが日常的に捨てるゴミのことを「一般廃棄物」といい、事業で生じたゴミのうち特定の種類を「産業廃棄物」と称します。それぞれ取り扱う業者の許可の種類も異なるので、主に一般廃棄物がメインになる残置物は一般廃棄物を取り扱う業者に、建物の解体で生じた廃棄物は産業廃棄物を取り扱う業者に依頼することになります。
どちらにも該当しない「家電4品目」
解体予定の建物の中には、家電が含まれていることもあります。
実は家電の中で「エアコン・テレビ・冷蔵庫冷凍庫・洗濯機衣類乾燥機(家電4品目)」は一般廃棄物にも産業廃棄物にも該当しない可能性があります。
家電リサイクル法で定められているとおり、家電製品から、まだ使える材料をリサイクルして、廃棄物の減少と資源の有効活用を目的としています。
具体的な処分方法は下記3つのいずれかです。
- 購入した電気店での引き取り
- 市区町村への問い合わせ
- 指定引き取り場所への持ち込み
また、収集運搬費用とリサイクル料金が必要になります。
少なくない金額ではありますが、許可を受けた業者に費用を支払って処分することで、不法投棄や不適切処理の可能性を下げられるので、適切な処理を心がけましょう。
なお、中には無料での回収を宣伝しながら走るトラックや、空き地にて無料回収を行う業者もいますが、許可を受けていない業者の可能性もあります。
不法投棄による火災発生などの危険性もあるので、確実に正規の処理業者に依頼するようにしましょう。
参考リンク:経済産業省 家電4品目の「正しい処分」早わかり
浄化槽汚泥の撤去も必要
古家のトイレがくみ取り式や浄化槽であった場合「汚泥処理の費用」も認識しておきましょう。
解体時、くみ取り式のトイレや浄化槽も一緒に撤去する必要がありますが、撤去する前には、くみ取り・清掃・消毒を行わなければいけません。
一般処理・産廃処理の業者とは別に「浄化槽清掃業」の許可を得た業者に依頼します。
撤去する前にくみ取り・清掃・消毒を行わなかった場合には罰則があることもありますので注意が必要です。
浄化槽の汚泥は、「一般廃棄物」に該当し、廃止した浄化槽に汚泥が残存したまま埋めてしまう行為は、「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」第16条に規定する「不法投棄」になります。
不法投棄をした場合の罰則は、5年以下の懲役若しくは1000万円以下の罰金、法人の場合は3億円以下の罰金が科せられます。